ニュースリリース
中野区内の商店街と社会福祉法人愛成会が連携し2010年から毎年開催している「NAKANO街中まるごと美術館!2023 アール・ブリュット-人の無限の創造力を探求する2023-」に、きもの校、製菓校は昨年度に引き続き、調理師校は今回初めてコラボレーションしました。
今回のテーマは「五感をひらく」。アール・ブリュット作品と本学園がコラボレーションして、イベントを盛り上げました。
※アール・ブリュットとは、専門的な美術教育を受けていない人々が、独自の発想と方法によって生み出す芸術作品のこと。
きもの×アール・ブリュット
きもの校では、アール・ブリュット作品から感じた世界観をきもの科1年生が着物のトータルコーディネートで表現した5作品が、2月4日から2月19日まで、なかのZERO西館美術ギャラリー2にて行われましたアール・ブリュット展「五感をひらく」の展覧会場内に展示されました。
アールブリュット作品鑑賞授業の様子
コーディネート制作の様子
アール・ブリュット展「五感をひらく」で展示された学生作品とコメントをご紹介します。
(撮影/高石巧)
コラボレーション作品 / 木村全彦「ひょう」2012年
学生作品テーマ「豹」
作品の木の上に佇んでいるヒョウから黄色のお着物にしました。森の中にいる様子を造花で表し、印象に残ったキラキラとしたステンドグラスのような部分を木漏れ日と解釈し、紫の帯とガラスの帯留めで表現しました。
コラボレーション作品 / 木村全彦「イエローキャブ」2014年
学生作品テーマ「イエローキャブ」
ワイシャツにネクタイ、手袋、革靴を合わせイエローキャブの運転手をイメージ。着物は車体の黄色をメインに印象的な青をポイントとしてコーディネート。帯はツヤ感のあるものを使うことで車体のツヤ感を表し、サイドラインを帯揚げの柄と合わせ統一感を。ベルトはバックルを丸にすることでエンブレムを表現。
コラボレーション作品 / 柴田鋭一「せっけんのせ」2006年
学生作品テーマ「ようせい」
「せっけんのせ」の第一印象は、自然・自由・爽やか でした。そのイメージを落とし込むことを意識してこの作品を作りました。絵の上部は自由で生き生きとした感じ。一方、下部はいくつもの丸がきちんと整列しているように見えて何かにとらわれていると感じました。それらを羽とツタを使って表現しました。そして、日本の伝統工芸である水引を使って遊び心を加えました。見る人を惹きつけ、何通りもの感じ方ができる。そんな作品に仕上がっていると嬉しいです。
コラボレーション作品 / 宮下幸士「日本の水族館」2014年
学生作品テーマ「鱗」
着物全体を作品から暗いトーンをイメージ。
作品の右上の魚からしゃちほこをイメージ。
作品の格子柄から魚の鱗をイメージ。
コラボレーション作品 / 八重樫道代「笑子畑」制作年不詳
学生作品テーマ「色花」
コンセプトはカラフルと曲線と直線。
この絵画を始めて目にした時「多彩」、「カラフル」などの言葉を連想し、そのイメージをそのまま着物として表現しようと思いました。カラフルにということを念頭においてセロハンや針金、リボンなどを使い自分たちの思うカラフルなイメージを存分に着物の中に散りばめました。また、この絵画には曲線と直線が混ざっています。着物の大きな特徴である「直線的な形」と少しオリジナリティを加えて結んだ「曲線的」な帯締めでそれを表現しました。
調理×アール・ブリュット
アール・ブリュット作品を見た学生たちが感じた世界観を料理で表現し、卒業制作展で展示しました。
コラボレーション作品 / 八重樫道代「カウントダウン21世紀」
制作年不詳
画像提供/るんびにい美術館
アール・ブリュット作品鑑賞授業の様子
学生作品をいくつかご紹介します。
「Toutes les Beautes de la Nature」調理製菓製パン科2年
「Pieces」調理製菓製パン科2年
「多様性」調理製菓製パン科2年
「アール・ブレッド~未来の種~」調理製菓製パン科2年
la liberté ~自由~ 調理師科
製菓×アール・ブリュット
アール・ブリュット作品から味や香り、食感などを想像して焼き菓子を3種類製作し、パティスリー・オダで一般販売しました。パッケージには、モチーフとしたアール・ブリュット作品を印刷したシールを貼りました。
コラボレーション作品 / 柴田鋭一「せっけんのせ」2000年
撮影/工房集、今井紀彰
「紫いものマーブルクッキー」
本作品から学生が想像したいくつかの味から「紫芋」、食感は「かため」を選んで
お菓子にしました。作品の雰囲気に近づけるためにマーブル模様に工夫を凝らしました。
コラボレーション作品 / 宮下幸士「英語」2019年
画像提供/やまなみ工房
「カラフルクッキー」
本作品から想像した味で意見が多かった「チョコレート」を生地に使用し、作品のカラフルな英語の文字の部分をカラーシュガーで表現しました。
コラボレーション作品 / 八重樫道代「カウントダウン21世紀」
制作年不詳
「3種のマドレーヌ」
本作品に描かれている手の部分からマドレーヌを想像しました。カラフルな色使いからは「フルーティ」な味を想像した学生が多かったため、作品のイメージに合うよう「イチゴ」「抹茶」「オレンジ」味のマドレーヌに仕上げました。
今回「アール・ブリュット」という言葉を初めて聞いた学生もいたと思いますが、魅力的なアール・ブリュット作品にふれ、改めてSDGsについて考えるきっかけとなったと思います。社会ではSDGsという言葉を聞くことも多くなり、多様性の尊重が推進されていますが、具体的なイメージが中々浮かびづらいこともあります。自由な発想で作られた素晴らしいアール・ブリュット作品とのコラボレーションで、自分たちの身近なこととして捉える機会となりました。
織田学園では、SDGsで掲げられている「誰一人取り残さない」の考えに沿って、一人ひとりが自分ごととしてSDGsについて考えていく機会を大切にしていきます。